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1.研究概要

 放射線医学分野は、放射線診断学と放射線腫瘍学から成り、両分野で専門性の高い研究が行われているほか、両分野が協力して、放射線診断学と放射線腫瘍学が融合した新たな研究もおこなっている。
詳しい研究内容については、放射線科ホームページをご覧ください

2.研究グループ

  • 放射線診断学グループ
  • 放射線腫瘍学グループ

3-1.放射線診断学グループ

研究テーマ

肺腫瘍の画像診断に関する研究

肺癌を中心に、臨床・病理・画像所見の対比、経時変化、画像所見と治療法選択との関連、等につき幅広く研究を行っている。

循環器疾患への新たな画像撮像法の応用に関する研究

種々のCT、MRI撮影法の応用に関する研究

画像診断手技を用いた種々の治療法に関する研究

核医学検査による画像診断と定量法の研究

中枢神経疾患の画像診断に関する研究

高空間分解能MRIなどによって腫瘍その他の疾患の画像上の特徴を明らかにし、質的診断の向上を図る。

3-2.放射線腫瘍学グループ

研究テーマ

転移性脳腫瘍における定位照射併用時の全脳照射法最適化に関する研究

転移性脳腫瘍の局所制御、再発予防には定位照射に加え全脳照射の併用が有効である一方、従来の全脳照射では、晩期障害として認知機能低下が問題となる。全脳照射の線量低下など定位照射併用時の最適な全脳照射法について研究を行っている。

脳腫瘍における新評価指標作成に関する国際共同研究

脳放射線治療後の認知機能評価にはこれまでMini Mental Score Examinationのような簡易検査法が用いられてきたが、より精密な評価法として複数の認知機能検査を組み合わせた日本語版認知機能バッテリーの作成を進めている。

肺定位照射における腫瘍内血流状態が治療経過に与える影響に関する研究

潅流CTによって腫瘍内の血流状態、つまりは酸素量が推測可能である。肺定位照射前後の潅流CTを解析し、腫瘍内酸素濃度と治療反応性の相関について解析を進めている。

食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術+化学放射線療法に関する研究

表層型食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術後、深達度が粘膜下に及んでいる場合には潜在的なリンパ節転移が懸念される。当科ではこのような症例に対して予防的な化学放射線療法を施行し、再発予防の有効性について検証を行っている。

前立腺癌の強度変調放射線治療、小線源治療後の予後・QOLに関する研究

当科では前立腺癌に対する放射線治療として、外部照射(強度変調放射線治療)、低線量率組織内照射(LDR)、高線量率組織内照射(HDR)を行っている。各治療法における有害事象、治療後の生活の質に与える影響について前向きに調査・研究を行っている。

画像誘導による照射精度向上に関する研究

当科では前立腺癌に対する強度変調放射線治療(IMRT)や肺定位照射において、毎回CBCTによる画像誘導を行い照射位置の補正を行うことで高精度な照射を実現している。
治療時の偏移量のデータを集積・検討し、照射精度向上に向けて解析を進めている。

4.研究の成果

[分野] 放射線医学(放射線診断)

[研究テーマ] 肺腫瘍の画像診断に関する研究

[内容]
 血清CEA(癌胎児性抗原)高値は肺腺癌の予後不良因子と報告されている。しかしながらCEA高値に関連する腺癌のCT所見は十分検討されていない。そこで我々は、病理病期I期肺腺癌を対象として原発巣のCT所見と術前血清CEA値との関連を検討した。ロジスティック回帰分析より、腫瘍消失率(縦隔条件の腫瘍面積に対する肺野条件の腫瘍面積)の減少と、腫瘍周囲のブラや蜂窩肺の存在が術前CEA高値に有意に関連していた。これらのCT所見は年齢、性別、喫煙指数(Brinkman指数)で補正した後も統計学的に有意であった。これらの結果より、腫瘍消失率の減少と周囲のブラや蜂窩肺の存在は、早期肺腺癌における予後不良な指標であろうと推測された。このような腫瘍が術後に再発を来しやすいか否かについてさらに検討する必要がある(Clinical Radiology 2014; 69(6): 559-66)。

[写真など]

図

[分野] 放射線医学(放射線診断)

[研究テーマ] 循環器疾患への新たな画像撮像法の応用に関する研究

[内容]
 肺塞栓症の診断において、最も推奨とされる画像検査は胸部造影CT。近年、Dual Energyの血流イメージングである、Lung Perfusion Blood Volume(以下Lung PBV)が活用されている。Dual Energy イメージングは、異なる2種類の管電圧で同時に撮影し、得られるCT値の差を利用してさまざまな物質(骨・造影剤など)を弁別する技術。Lung PBVは、Dual energy スキャンを行って肺内のヨード情報を抽出し、ヨード分布を表示した画像=ヨードmapを作成して、それを元のCT angiography(以下CTA)画像とfusionしたもの。非閉塞性の肺塞栓の場合にはLung PBVにおける血流低下(ヨードの潅流低下)が明らかでないことがある。当教室では区域枝または亜区域枝の肺塞栓病変をCTA所見から閉塞群と非閉塞群に分け、血流低下の違いについて視覚的かつ定量的に比較検討した。すると非閉塞病変では病変より末梢の血流が正常肺と同程度に保たれることが判明した。肺塞栓症の画像診断ではCTAで血栓を指摘することが本質的だが、肺血流の評価はLung PBVで行う必要がある。(European Journal of Radiology 83(12):2260-67, 2014)

[写真など]

図

[分野] 放射線医学(放射線診断)

[研究テーマ] CT angiographyのReverse Attenuation Gradient SignはTypeIIエンドリークとその他のエンドリークとを鑑別する

[内容]
 近年大動脈瘤の治療でステントグラフト内挿術が行われるようになってきている。ステントグラフト内挿術の最大の問題はエンドリークであり、CTAでエンドリークのType分類を行うことが、追加治療には重要である。Reverse Attenuation Gradient Signは血管の遠位側のCT値が高く、中枢側のCT値が低い所見である。我々はこの所見はエンドリークに関与する分枝が逆流していることを示しているかもしれないと考え、エンドリークと連続する血管のCTAでのCT値の減衰と侵襲的血管造影での血流方向との相関を評価した。
 CTAはCT値が中枢側>末梢側のものをAnterograde attenuation gradient(AAG-CTA)、中枢側≒末梢側をEquivocal gradient、中枢側<末梢側をReverse attenuation gradient(RAG-CTA)と評価した。また侵襲的血管造影は血流方向により2段階に評価。動脈瘤から離れる血流はAnterograde flow in invasive angiography(AF-IA)、動脈瘤に向かう血流はRetrograde flow in invasive angiography(RF-IA)と判断した。
 CTAで疑われた全15エンドリークが侵襲的血管造影で確認できた。RAG-CTA signを示した血管は示さなかった血管より有意に血管造影で逆流を認めた(89% [8 of 9] vs 17% [1 of 6]; P=0.023)。RAG-CTA signはステントグラフト後のTypeⅡエンドリークとその他のエンドリークとを鑑別するのに有用となる可能性がある。

[写真など]

図

[分野] 放射線医学(放射線治療)

[研究テーマ] 食道癌放射線治療における呼吸同期照射や多門照射の研究

[内容]
 食道癌に対する放射線治療では、治療後に大きな有害事象が発生することがある。それを軽減するためには正常組織への照射を減らす必要があり、その手法として呼吸同期照射 (Gating)や多門照射などがある。今回、私たちは後方視的に仮想の放射線治療計画を作成し、リスク臓器のDose-Volume Histogram (DVH)を比較し、これらの手法を用いることがDHVの改善にどの程度有用なのかを研究した。
 今回の研究では呼吸同期照射では多くのパラメータを軽減できるものの、その程度は軽度であった。多門照射では一部のパラメータは大きく軽減したが、逆に一部のパラメータは増加した。DVHに与える影響は呼吸同期照射よりも多門照射の方が強いことがわかった。(ASTRO 57th Annual Meeting, 2015にて発表予定)

[写真など]

図

[分野] 医学物理学(放射線治療)

[研究テーマ] 頭頸部放射線治療における歯科用合金の後方散乱線評価

[内容]
 頭頸部領域の放射線治療で照射野内に歯科用合金が存在する場合に、近接する口腔粘膜に重篤な粘膜炎が発生することがある。これは合金からの後方散乱線による粘膜線量の増加が原因と考えられている。しかし、市販の放射線治療計画装置では後方散乱線による線量増加を評価することは難しい。我々は一般的な歯科用合金(金銀パラジウム合金)を使用し、平行平板型電離箱線量計(NACP-02, IBA Dosimetry)およびガフクロミックフィルム(GAFCHROMIC EBT3、Ashland ISP Advanced Materials)を用いた測定実験、およびモンテカルロ計算(PHITS)によって後方散乱線による線量増加を評価した。その結果、合金表面での線量増加率は33-44%であり、金属表面から3-5 mmの距離で後方散乱線の影響はほぼなくなることが分かった。この結果を基に、合金からの後方散乱線による粘膜線量増加を防ぐための最適なデンタルデバイスの設計を提示することができた。なお、本研究は新潟大学大学院顎顔面放射線学分野、新潟大学大学院保健学研究科との共同研究である。

[図1]

図1

後方散乱線による線量増加を測定するための実験のセットアップ。タフウォーターファントム(京都科学)の中に1立方センチメートルの合金を埋め込み、その上に平行平板型電離箱線量計またはガフクロミックフィルムを置き測定を行った。

[図2]

図2

モンテカルロ計算(PHITS)の計算結果の一例。放射線治療装置のターゲットやコリメータをモンテカルロ計算コードの中で再現し線量計算を行った。

[図3]

図3

合金からの距離(横軸)によって後方散乱線による線量増加率(縦軸)がどのように変化するかを示した図。赤色の線は平行平板型電離箱線量計による測定結果、青色の線はガフクロミックフィルムによる測定結果、緑色の線はモンテカルロ計算の結果をそれぞれ示している。


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